デザインマネージメント


渡邉英徳さんのデザインマネージメントの授業について。
デザイン、アートにできることは何かを考えていく授業。

渡邉先生は首都大学のインダストリアルコースでデジタル地球儀や仮想世界サービスを応用した情報アーキテクチャのデザイン、アート&エンターテインメントを研究している一方で、実際に製作も行っています。
初回の授業では、主にデザインとは、又はウェブデザインとはどういうことなのかを、自分が携わってきたプロジェクトを紹介しつつ話しています。

まずは
デザインというと真っ先に形や見た目がかっこいいものを思い浮かべがちだが、それだけではないよって話。コミュニティーや仕組みなど、目に見えないものを作ることも大事なデザインだよと。
次に
具体的なプロジェクトの紹介
Google Earthマッピング機能を用いたプロジェクトが紹介されました。
・さくらマッピング http://mapping.jp/
1人1人が桜の写真をグーグルアース上に表示されるサービス。1人1人の小さな参加によって桜前線が浮かび上がる。何より桜って言うのが楽しい。
・団地マッピング http://blog.livedoor.jp/sohsai/archives/50744218.html
住宅都市整理公団の内容をマッピングしたもの。団地のデータベースを作ってきた大山顕さんの長い期間の足跡がマップに描かれる。団地を通して都市計画の姿が分かりやすくあらわれる。
・夜間光マッピング (NOAA)
マップ上で人間の営みの象徴である光によって、営みや経済力が可視化される。可視化されたそれらは時に恐怖も感じる。
・Tuvalu Visualization Project  Tuvalu Visualization Project
海面上昇による水没の危機が話題となっている南洋の島国ツバルに住む人々のポートレート作品集『ツバルに生きる一万人の人類』およびGPSフィールドワークで撮影されたツバルの日常風景を、Google Earth上にマッピング・可視化するプロジェクト。Google Earthを用いてコミュニケーションの可視化される。
ナガサキヒロシマアーカイブ http://nagasaki.mapping.jp/Hiroshima Archive|ヒロシマ・アーカイブ
証言や写真をデジタル地図に載せることで、原爆とそれが引きおこした事態の「実相」をつたえる。ここでは、アーカイブズのインターフェイスは、デザインされたものの一面でしかない。世代や地域を越えて、人々と対話しながら形成された / デザインされた「記憶のコミュニティ」が背後にあると説明があった。
東日本大震災アーカイブ http://nagasaki.mapping.jp/p/japan-earthquake.html
震災直後であり、記憶のコミュニティーを背後にもつことが難しかった。また、思いとどまる部分があったが、宮城大学の学生の積極的な参加によって、最終的には記憶のコミュニティーが生まれることとなる。ここには、コミュニティー形成・デザインの可能性をより感じることができると思う。

最後に、適切なデザインを施すことで、人の心を打つことができる。より強く伝えることができるデザインを目指す。という言葉が印象的でした。
以上が大雑把な授業内容です。

各プロジェクトで重要なのは
トップダウンの情報(Google Earth)であるGoogle Earthを利用している点。
・ヴァーチャルな視点による可視化。
だと思う。「トップダウンの情報」に個人個人の情報を(さくらマッピング)、光という個人個人の振る舞いを表すものを(夜間光マッピング)、個々が生んだコミュニケーションを(Tuvalu Visualization Project)、ある記憶を共有したコミュニティーを(アーカイブシリーズ)重ねることによって可視化されたものには新しい発見を生む、または実相を浮かび上がらせる力を持っています。
ウェブの仕組みは(おそらく)単純で、個々の人々の記録や思いが時間と空間を共有することで複雑な動きや思いもしない結果を生む。つまり簡単なルールの設定が、面白い、または新しい発見につながっています。さらに、アーカイブシリーズでは実空間/web空間、双方を介してのコミュニティー形成が伴うことでより強いメッセージを生んでいます。